2015年8月11日火曜日

住民監査請求の提起

 富谷町民オンブズマンは,平成27年7月6日,富谷町監査委員宛に住民監査請求を提起しましたので,ご報告します。

 住民監査請求書で出てくる「要綱」とは,行政内部だけで決める(町長決裁)いわば内部ルールであって,業者が拘束されるものではありません。開発負担金の求めは,この「要綱」に基づき相手方に任意の協力を求める「行政指導」として行われるものです。行政指導は,行政手続法第32条,行政手続条例第31条に規定されているとおり,「あくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない」のです。

 地方自治法第14条第2項の規定により,業者に負担金の支払義務を課するためには,行政内部だけでは決められず,議会の議決を要する「条例」の制定が必要となります。

 今回の開発にあたっては,条例により課された分の開発負担金(上水道分)は全額支払いを受けています。  
 議会が問題視しているのは,法的には業者側が支払うかどうか自由に決められる「要綱」により課された開発負担金です。
 
 これらは行政に少しでも携わる者であれば,基本知識に属する事柄です。
 
 富谷町の議会は,知ってか知らずか,これらのいわば「常識」に反し,ありもしない疑惑をでっち上げ,我々の税金を使って無益な調査特別委員会を設置したのです。
 
 我々は,このような違法・不当な調査特別委員会により無駄な税金が支出されることを許しません。
 
 こうした「ありもしない疑惑をでっちあげ,議会と対立する者を調査という名目でつるし上げる」事例は,会報No.1でも記載したとおり,富谷町議会が現在の議員になってからの4年間繰り返され,多くの被害者が出ています。

 我々は,こうした行為は重大な人権侵害であると考えており,今回の住民監査請求の提起により,これらも含めて強く抗議するものです。

 
                                    住民監査請求書
                                   
1 請求の要旨


 平成27年第2回定例会において可決された「富谷町明石台東地区開発に伴う「宅地開発負担金」の減免に関する調査特別委員会の設置に関する決議」により,富谷町議会議員には特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和48年富谷町条例第34号)第6条第1項の規定により,費用弁償として日額1500円が支給されることとなる。
 しかし,ここで問題となっている「宅地開発負担金」は,富谷町の開発指導要綱に基づく任意の「寄付」(贈与)である。この寄付の求めは,行政指導として行われるものであるから,業者側がひとたび行政指導に従う意思がない旨を表明すれば,それ以上の要求は行政手続条例第31条に違反し,国家賠償法上も違法となる。
 もとより,富谷町給水条例のように「条例」により開発負担金の支払義務が定められているものではなく,行政の内部ルールに過ぎない「要綱」に基づく行政指導による寄付の求めである以上,最初から業者側に支払義務がなく,「減免」という概念自体がありえないのである(地方自治法第14条第2項参照)。
 河北新報の報道によれば,「企業体から,「資金繰りが厳しい」との申し出を受け」たとされているから,業者側が行政指導に従う意思がない旨を表明していたことは明らかであって,これ以上の寄付の要求は法的に許されない(なお,監査請求の直前に事実証明書として添付するために業者側の要望内容がわかる資料を富谷町役場に開示請求したところ,「原本」がなく,「写し」しかないことを理由として明らかに不当な不開示決定が出されたことを付言する。)。
 今回の調査特別委員会の設置は,上記のような基本的な制度理解を欠くものであるばかりか,あたかも前町長に不正があったかのような形式をとっており,違法に前町長の名誉を毀損するものである。また,業者側から行政指導に従わない旨の表明があった際に,さらに寄付を求めなければならないという誤った考えを前提とするもので,違法行為を勧奨するものである。さらに,前町長は次回の富谷町議会議員選挙への立候補が噂されており,この時期の調査特別委員会の設置は明らかに政治的な意図に基づくものと考えられる(同時に設置された震災義援金に関する調査特別委員会についても,議事録を精査した上で住民監査請求を提起することを検討している。)。
 富谷町議会においては,これまで人権侵害を伴う調査特別委員会が繰り返し設置されてきた。今回の調査特別委員会についても同様に,富谷町議会多数派の議員と対立する者に対し,ありもしない疑惑をでっちあげ,税金を使って調査を行うものである。これは明らかに違法・不当な公金の支出といえる。
 よって,地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求する。また,同第242条第3項の規定により,監査結果が出るまでの間,上記調査特別委員会自体の停止を勧告するよう上申する。
 念のため付言すると,監査委員佐藤克彦は,富谷町議会議員であり,この調査特別委員会の設置にも賛成していることから,同法第199条の2の規定により当然に除斥される。阿部代表監査委員による良識ある判断に期待するものである。
2 請求者
 住所
 職業
 氏名                    印
平成27年8月6日
宮城県黒川郡富谷町監査委員 あて


この住民監査請求の提起は,平成27年7月9日の河北新報朝刊にも掲載されました。以下
にそのまま引用します。

(ここから引用)
「町議会調査委費用支出違法」富谷町民オンブズ住民監査請求
 富谷町民オンブズマンは8日,町議会が設置した調査特別委員会の費用支給は違法で不当な公金支出だとして,町監査委員に対し,町議への日額1500円の支給差し止めと調査委の停止勧告を求める住民監査請求を行ったと発表した。
 調査委は明石台東地区の宅地開発に絡み,地権者らで構成する共同開発事業体の開発負担金のうち2億9000万円を町が徴収しなかったことに関し「なぜ特別扱いしたのか」と6月に設置された。前町長が減額を決めた経緯を調べている。
 オンブズマンは,負担金は内部ルールの要綱に基づく任意の寄付であり,従う意思のない相手に要求するのは条例違反,違法だと強調。調査委は制度理解を欠き,不正があったかのように前町長の名誉を損なっていると主張する。
 オンブズマンの岩田士郎代表は「町議会の多数派と対立する者に対し疑惑をでっち上げる調査で,政治的な意図に基づくと考えられる。税金を使うのはおかしい。」と話している。
(引用ここまで)


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